精油を買う時に気をつけたい保護対象の精油

年々、日常の様々な雑貨や化粧品類に精油が使われるようになりました。

需要がたかまると需要に追いつこうと生産が増やしますが、農業が生産に追いつかなくなると植物の数が減ってしまいます。

精油の場合、アロマボトル1つ作るためには大量の植物を使われます。

貴重な精油の生産によって、植物の生存が脅かされたり多様性が失われないようにするために、自然保護に関する法規制があり、特に個体数が少なくなっている植物へは特に配慮が必要となります。精油となる保護対象の植物には下記が挙げられます。

  • ローズウッド
  • ブルネシアサルミエント
  • スパイクナード
  • アガーウッド
  • サンダルウッド
  • フランキンセンス
  • シダーウッドアトラス

これらの精油の購入は非常に難しくなっているか、市販されていたしてもかなり高価となっています。

また、原産国、細かい種の違い、栽培方法 によって保護の状況が異なることもあるため、それぞれの植物について正しい情報を確認する必要があります。

もし必要があって買わないといけない場合は、精油が自然に配慮した形で調達や製造がされたものなのかを確認することが必要です。

1つの方法として、Responsible sourcing(責任ある調達 レスポンシブルソーシング)の認証ラベルがあるかを確認することもできます。

ラベルがある場合は精油のパッケージや詳細をみると示されています。その他には、工業生産されておらずオーガニック農法による小規模栽培の精油を選ぶ方法もあります。

これらの精油はよほど必要でない限り、他の精油で代替するなどして、できるだけ買わないようにすることも大事かと思います。


自然保護に関わる情報源:

  • 国際自然保護連合(IUCN ; International Union for the Conservation of Nature)
    • IUCNレッドリストに記載のある動物や菌類、植物の種と、それらが生きていく上で関連している事象について、世界でもっとも包括的な情報 を集約しています。
  • 絶滅危機の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES; The Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora
    • 政府間による国際協定。野生動植物の取引における種の保存を脅かすことがないよう条約の中で各国が守るべき規定を取り決めています。
  • ユナイテッドプラントセイバー(United Pant Savers)
    • アメリカやカナダを中心に植物保護のための情報やプログラムを提供する団体です。
  • アロマセラピー取引協議会 (ATC; The Aromatherapy Trade Council)  
    • IFA(国際アロマセラピスト連盟)も加盟するアロマセラピー取引協議会であり、市販の精油が安定に供給されるよう規制に関わっています。薬草の保護に対するサポートへの声明を宣言しており、継続可能な収穫の方針と絶滅寸前の種を保護を支持しています。

以上

万能ハーブ エルダーベリー

​アダプトゲンと呼ばれる万能薬として知られるハーブとして知られている、エルダーベリーについてご紹介します。

エルダーベリーは学名はSambucus nigraといい、スイカズラ科ニワトコ属のエルダーです。ハーブとしてよく知られているエルダーフラワーは同じ植物の花部を使用していますが、エルダーベリーは果実部です。落葉低木植物に分類され、花部はかわいい薄黄色の花を咲かせます。果実部は葡萄色の小さい実です。

エルダーフラワーは発汗作用による解熱効果や、呼吸器系の炎症を抑えたりする効果、気管の粘液分泌を促進させる効果があるため、コーディアルは風邪やインフルエンザ、花粉症に使われています。

一方、エルダーベリーは強い抗酸化作用を持つポリフェノールやビタミンA、ビタミンCを豊富に含んでおり、老化や病気の予防、目の健康維持、美肌・美白などに効果があると言われています。

慢性便秘者20名に実施した調査によると、エルダーベリーを摂取させたところ、大腸通過時間が短縮されたことから、エルダーベリーが便秘改善効果を持つことが示唆されたというエビデンスもあります。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20433751

ネットではサプリメントとしてや、水や炭酸水で割って飲むシロップや果汁が売られています。

以上

PMSの症状にチェストベリー

月経前の3日〜10日前までに頭痛、腹痛、腰痛、むくみ、お腹の張りや、イライラ、抑うつ、不安、眠気、のぼせ、食欲不振・過食などの症状がある場合、それはPMS(月経前症候群)の症状かもしれません。

PMSについて:

女性ホルモンは卵巣の周期によって2種類の女性ホルモンの分泌が調整されます。排卵から月経までの期間を黄体期といい、この期間にはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。黄体期の後半になると、エストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられているそうです。

PMSには頭痛、腹痛、腰痛、むくみ、お腹の張りや、イライラ、抑うつ、不安、眠気、のぼせ、食欲不振や過食などの症状があり、人によって症状が異なりますが、程度も大きく異なります。人によっては頭痛がひどく寝込んでしまう人や、イライラをかなり感じてしまう人もいるようです。海外では割と認知されているPMSですが、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。

PMSの症状がある方におすすめのハーブがチェストベリーというハーブです。今回はチェストベリーについてご紹介します。

チェストベリーの概要:

PMSの症状がある方におすすめのハーブが、チェストベリーです。チェストツリーという木の果実部です。ちなみにハーブにはチェストベリーの他にジュニパーベリーやクランベリーなども含まれます。チェストベリーの学名はVitex agnus-castusです。地中海地方やアジアが原産となっています。

「チェストベリー」という名称は、この木が伝統的に純潔を守るのに役立つと信じられていたことに由来しているようで、中世の修道僧は性欲を減退させるのにチェストベリーを使ったと報告されているようです。

効能:

チェストベリーは昔から婦人科疾患や皮膚疾患の治療にチェストベリー抽出物(エキス)を使用していたこともあり、現在でもチェストベリーは月経前症候群、月経周期に関連する乳房痛、不妊症、そのほかの症状・疾患に良いとされています。

現在、ゼリア新薬工業株式会社が販売しているプレフェミンと呼ばれるチェストベリーを使った医薬品が病院で処方されており、ご存知の方もいるかもしれません。

HP→ https://prefemin.jp/

安全性:

チェストベリーは、妊娠中の人や子どもは使用を禁忌です。女性には経口避妊薬の作用を低下させることがあるため、婦人科系の疾患がある方は医師に相談してください。

女性の不妊症に対するチェストベリーの研究がおこなわれましたが、ほかのメディカルハーブとも同じように、まだ効果の有無に関する信頼性の高いエビデンスが不足しているため、今後より科学的なエビデンスが増えるといいなと思っています。

入手方法:

海外のオンラインサイトでは、チェストベリーを使ったハーブティーやサプリメントが売られており一般の方も入手可能です。

iherbなどの海外のショッピングサイトでは、サプリメントやチェストベリーがブレンドされたティーも販売されているので日本でもオンラインを通して購入できます。サプリメントはハードルが高いということであれば、まずは飲みやすくブレンドされたハーブティーなどから試して見るのも良いですね。

より科学的に精油を分類したケモタイプの精油

精油の中にはケモタイプとよばれる精油があります。精油の学名を見ると「ローズマリー c.t. シネオール」や「ローズマリー c.t. ベルベノン」と書いているのを見たことがあるかもしれません。このc.t.がケモタイプ(Chemotype)を指し、精油の種類を意味します。

植物はある一定の環境で育った場合、植物の科学組成が大きく異なってきます。この、ある一定の環境を科学的に分類し、他の精油と区別している精油をケモタイプと呼びます。そのため、学名の後ろにc.t.シネオールやベルベノンのようなさらなる分類が示されています。

ケモタイプの生育に影響を与える要因として、育った場所の標高、気候、日照、土壌、栽培方法、害虫の有無が挙げられます。

例えば、海抜の低い場所で生育する植物は赤外線を受けやすく、雨が少なくなります。また、栽培方法として野生で育つかによっても大きく影響を受けます。

ケモタイプをつくる性質をもつ植物には下記のような植物が挙げられます。

キク科ヨモギ属
シソ科バジル、マージョラム、ペパーミント、ローズマリー、タイム
フトモモ科ユーカリ、メラレウカ、マートル
ケモタイプを作る性質を持つ植物

ケモタイプの方が普通の精油より良いのかどうかは判断が難しいですが、より科学的なアプローチでアロマを取り入れたい場合には、便利なのではないかと思いました。

以上

タッチングとT.L.C.(Tender Loving Care)の効果

アロマテラピーマッサージを行うときに、マッサージや精油の効果を語る前に、よりシンプルだけどクライアントに対する影響としては見逃せないものに、タッチングとT.L.C.の効果があります。

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タッチングとは正に身体に触れることですが、人間の行動の基本的なニーズによる応答で、人間の成長、発達、アイデンティティーの認識において精神的および生理的な効果があります。ママから赤ちゃんへのタッチングの効果はよく知られているかと思いますが、赤ちゃんでなくても人間は常に人との身体の触れ合いによって癒されます。タッチングの皮膚感覚により、脳から幸せホルモンと言われるオキシトシンが分泌され、身体全体をリラックスさせてくれます。また、信頼している人や親しい人によるタッチングの効果はより強いと感じられるため、やはりセラピストとクライアントの信頼関係がとても大事になります。

T.L.C. (Tender Loving Care)とは、優しく心のこもったケアを指し、最もシンプルなケアの表現です。マッサージ時のT.L.C.の表現方法としては、例えばマッサージのときにゆっくりとクライアントの身体にタオルをかけてあげたり、ゆっくり身体を動かしてあげたり、優しく声かけをして気遣ってあげるなど、作業を時間をかけて行うなど、1つ1つのプロセスを丁寧に時間をかけながら行うことです。そうすることで、クライアントが大事にされていることを感じてもらえます。時間に追われながら効率性を求めた現代社会で生活していると、疎かになってしまうところです。

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毎日できる何気なくやっていることが、実は私たちの健康維持やウェルビーングに繋がっていたのかもしれません。

アロマテラピーのマッサージをするときにも、より丁寧に時間をかけてクライアントに接していくことを心がけたいです。

ホリスティックセラピーとしてのアロマの考え方

アロマテラピーとは、精油を利用したマッサージ療法です。

アロマセラピストが精油のマッサージをクライアントに施述することにより、皮膚を通して吸収されるととともに、トリートメントやマッサージを受けている間に精油の蒸気を鼻から吸入されることで、クライアントの体と心に対しホリスティックな働きかけをすることができます。

IFA(国際アロマセラピスト連盟)では、アロマテラピーの基本の考え方を下記の通りに示しています。

  • ホリスティックなセラピー
  • 補完代替療法
  • 癒しの芸術(アート)と科学(サイエンス)

大事な考え方であるホリスティックなセラピーについて深く見ていきましょう。

ホリスティックなセラピーとは:

ホリスティックなセラピーとは、病気には身体、感情、心、ライフスタイル、家族の影響、社会的及び文化的な影響、慣用的な影響など、全てにおける相互関連性があると考えます。病気の原因とその治療法への広い視野が必要であると考えます。

また、人間の身体には自然治癒力が備わっており、私たちの身体を一定に保つ力であるホメオスタシス(恒常性)を維持することが大切であると考え、身体の治癒力の潜在能力を重視します。

ホメオスタシスが乱れている状態に引き起こされる病気へのアプローチとして、健康分野の専門家とクライアントとのパートナーシップをもつことが必要と考えます。

信頼関係のあるパートナーシップを築くために、セラピストは十分な理論と実践、クライアントへのコミットメントをもち、クライアントへ向き合います。

そうすることにより、クライアントは自分自身に対する気づき、それに対する責任を考えるきっかけを持ち、様々なアプローチの中でバランスをもった調和のとれた状態を目指していくことになります。

最後に、アロマテラピーを通してセラピストはクライアントの健康の維持と促進のために努めます。

科学的なアロマの効果を生かすメディカルアロマのアプローチにより、病気の治療と予防のために、ホリスティックな働きかけによって、クライアントがより良い健康的なライフスタイルの選択が継続してできるように促していきます。

アロマセラピストの仕事はまさにクライアントの人生とも関われる、深くやりがいのあるお仕事ですね。

アロマセラピストの心得:

最後に、アロマテラピーは補完療法です。補完療法としての限界を知り、資格のある範囲で、トリートメントを行います。

セラピストとして、下記で示した基本的な心得をもってクライアントへ接します。

  • 常に専門家としての倫理規定の範囲内で仕事をします。
  • 各分野の専門家と協力してクライアントの健康のために努力します。また、クライアントの健康を管理している専門家に対して敬意をもって接します。
  • 知識、トレーニング、資格の適切なレベルの実践をします。医療資格がない場合は医療的な治療は行いません。
  • セラピーの限界を理解した上で、クライアントに誠実に接します。
  • 各々のクライアントにあった施述を行います。

以上

日本の香り文化

香りについてもう少し理解を深めたいと思います。

今回は日本での香りの歴史と、現代の香り文化についてまとめてみました。


◼︎日本における香りは宗教とともに広がる

日本における香り文化は、宗教的なお香からはじまりました。

香りをつける文化は以前に中国から日本へ伝わり、仏教の普及と共に祈るための香りとしてお香が広まっていきました。

平安時代には仏前に供えるためだけの香りでなく、部屋にたき込めたり、衣装にたきしめたりと、香りそのものを楽しむようになったそうです。

例えば香りの楽しみ方の1つとして、貴族たちは季節の様々な事象などをテーマに香木香料をミックスして独自の香りを創造するなど「薫物合わせ」という香遊びもおこなわれていたようです。

私も色々な精油をブレンドしているととても楽しいですが、平安時代の貴族も同じような感覚があったと思うと、なかなか感慨深くなります。

その後、東山文化の時代には一定の作法に従って香を鑑賞する「香道」が成立されました。

江戸時代からお線香の製造が始まり、庶民の間でもお線香の使用が普及しました。

ちなみに、芳香を持つ木材「香木」が淡路島に漂流したと言われており、淡路島においてお線香の生産高が全国一となっています。


◼︎現代の香りは機能性、そして多様化へ(芳香剤、香水、アロマ)

お線香以外に、日本ではトイレなどの生活空間の匂い消しなどでを目的として、芳香剤として香り文化が発展しました。

香りがあることはあまり好まれず、マイナスである香りや匂いをゼロにするために使われていました。

この頃から香りに対して、消臭などの機能性が求められるようになりました。

また、西洋から香水文化が入り、高級ブランドなどの香水が売れるようになりました。香水は異性に対する魅了させるために使う目的が多いです。

一方で、アロマの香りは香水などと比べて比較的穏やかです。アロマの香りはどちらかというと自分のために使うこと目的の方がおおいかと思います。

薬理的な効能もあるため、自分のセルフケア目的で使います。アロマは空間でのデザイン性も高いため、感性にも響きます。

同じ「香り」と言っても、時代の流れと私たちの趣向の変化により、香りの使い方が変化してきています。

特に最近は香りへの注目が高くなっており、使い方などにさらなる広がりがでてきており、とても面白いところです。


参考: 

日本香道「香りのエピソード」 https://www.nipponkodo.co.jp/inori/episode/

山田松香木店 「香の歴史」https://www.yamadamatsu.co.jp/material/history.html

におい・かおり環境学会誌「芳香消臭剤の香りの変遷」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/46/6/46_382/_pdf

アロマブレンドの濃度と滴数の計算方法

アロマでコスメをつくったりマッサージ用のアロマオイルを作る時に必要なアロマブレンドの濃度と滴数の計算について説明します。

まずキャリアオイルと呼ばれる希釈する液体に対し、使用する精油の希釈率(濃度)を決定した後に、精油の滴数もしくは量を計算します。

少量のアロマブレンドを作る場合には精油の滴数で計算し、多量の場合はml(ミリリットル)で計算します。

多くの場合は滴数で計算することになるかと思います。

それぞれのステップについて計算方法をご説明します。

1. ブレンドの希釈率の決定

下記の表で示した通り、どこの箇所にどのような目的で使うかによって推奨される希釈率が異なります。

顔やボディマッサージに利用することが大半かと思うので、まずは1%希釈でブレンドしてみると良いかと思います。

◼︎用途別の希釈率

顔・スキンケアボディマッサージ局所的な問題
希釈率(濃度)0.5-1 %0.5-3 %2.5-4 %

2. アロマブレンド濃度の計算方法

精油の滴数を考える時に、10mlが1%希釈で2滴、ということを暗記しておけば、難しい計算式にいれて考えなくても、頭の中で簡単に計算できます。

例えば、15mlで2%希釈を作りたい時は、10mlの1%が2滴なので、2%なら4滴となり、キャリアオイル15mlを使うので1.5倍の量となり、4滴×1.5倍は6滴だな、とわかります。間違えないために下のブレンドチャートをみて確認しても良いですね。

◼︎ブレンドチャート(キャリアオイルに対する精油の希釈と滴数)

キャリアオイル
の量
精油 
(滴数)
1%2%3%4%5%
5ml12345
10ml246810
15ml3691215
20ml48121620
25ml510152025
30ml612182430

また、精油だけのブレンドを作る時は、精油1滴は0.05mlとして計算します。5mlの精油ブレンドを作る時は、3ml ÷0.05ml=60滴となります。

以上、アロマブレンドの濃度と滴数の計算でした。慣れるまでは少し難しく感じるかもしれませんが、慣れればアロマを使って色々なアロマグッズが作れるようになるので、大変便利です。

香りについて理解する③ – 香りの性質

アロマなどの匂いの性質について、2つの特徴について説明します。

1つ目は匂いと強さの効果の関係性、2つ目は匂いの持続性似ついてです。


1. 匂いの強さと効果の関係は?

初めから疑問に対する結論をいうと、心地よいと感じる匂いは人によって異なるため、匂いの強さと効果は相関しない関係にあります。

匂いの好みは大きくは、性別の違い、年齢や、健康状態によって変わってきます。

一般的に女性の方が男性よりも匂いを識別する能力があると考えられており、その理由としては、女性は先天的に妊娠中に重要となる生殖保護能力にすぐれている、女性の方が右脳の影響を受けやすい、などが挙げられています。

匂いの変化が顕著にあらわれるのは、妊娠中の女性です。妊娠中の女性は妊娠していない女性に比べて低濃度の匂いの探知は劣っていますが、匂いを強く感じ、匂いに敏感になり、匂いを不快に感じることが多くなります。

そのほかに人によって差がある理由は、文化的要素、ライフスタイル、天候、記憶との関連、感情や期待感にも影響を受けます。

慣れ親しんでいる匂いや思い出と密接した匂いには、どこか心地よさと安らぎを感じます。

匂いのプロとして、調香師、食品光量子、ワインテスター、ウイスキーブレンダー、紅茶ブレンダーの方々がいますが、非常に繊細な嗅覚を必要とする職業です。

海外では彼らを「ノーズ」と呼ぶそうです。

普通の人は5,000種類の匂いをかぎ分けるようですが、訓練によって10,000種類までかぎ分けることができるようになると言われています。


2. 匂いはどれくらい持続するのか

匂いの持続時間は、精油が構成される揮発速度や分子構造によって決まります。

香水の調合において、香りの持続時間を長くするために、トップノート、ミドルノート、ベースノートの組み合わせを考えながらブレンドを作ります。

精油ブレンドを作るときも同じアプローチが用いられます。それぞれの特徴は下の通りです。


トップノート:揮発性が最も高い成分で構成され、第一印象となる香り。香りは数分から30分ほど継続。

●ミドルノート:やや揮発性の低い成分によるもので構成され、中心となる香り。香りは数時間持続。ボディノート、ブーケ、またはハートと呼ばれます。

ベースノート:最も揮発性の低い成分から構成され、最後にくる深い香り。香りは数日残ることもある。ミドルノートがほぼ完全に消失するとはっきりでてきます。


一般的には、ミドルノートを中心に精油を決めた後、その香りにあったトップやベースをブレンドするのがオススメです。

全て揃っている必要はないですが、使うシーンに合わせてコンビネーションを考えることになります。

例えば、ディフューザーでたく場合は、香りが出やすいトップノートの精油をブレンドした方が良いでしょう。

以上、匂いの性質について2点をお伝えしました。

香りについて理解する② – 香りの効果

私たちが匂いをかぎ、匂いを認識し、その結果起こる心理的・生理学的な効果は非常に主観的であり、個人によって異なります。

アロマの香りが私たちの心理的な効果にどのように影響しているのでしょうか?

アロマの香りが私たちの心理的な効果を高める方法として、下記4つの効果が挙げられます。


1. 薬理学的な効果

アロマの香りを鼻から吸い込むと、脳を通って血流に取り込まれます。血流から中枢神経系や内分泌系を介して、身体機能や精神状態に影響を及ぼします。

例えば少し気持ちを落ち着かせたい時に鎮静作用のある精油を使うと、効果が感じられます。

2. 自分の背景(バックグラウンド)と結びついた感情による効果

ある匂いが非常に感情が高ぶった体験と結びつく場合、その体験と匂いは一緒に記憶されます。その後、同じ匂いを嗅いだ時に、その時の感情の高ぶりも蘇ります。


3. 快感による効果

知覚された匂いは気分や身体面に影響を及ぼします。良い匂いを嗅ぐことは本能的に良い気分になることにつながります。

4. プラシーボ効果

プラシーボやプラセボとも言います。プラシーボ効果とは有効成分が含まれていない薬を投与されたにも関わらず、患者は薬が聞くと思い込んでいることにより、病状に改善・回復の兆しが見られることをいいます。偽薬とも言います。うつ病患者に対しては時にプラシーボ薬を処方することがあるようです。


ここで挙げたようなあらゆる心理療法的な可能性を考慮に入れ、最適な効果をあげるために、プロのアロマセラピストの方はクライアントのために精油を選択したり、施述に組み込んでいます。自分でセルフケアとしてアロママッサージをする時や、誰かにアロママッサージをしてあげる時に、知識として持っておくと便利かと思います。

以上、香りによる心理的な効果似ついての解説でした。